格安SIM各社がしのぎを削る中、大手キャリアが重い腰を上げはじめています。
ドコモは「docomo with」「パケットシェア」を開始、auは2017年7月に格安スマホを意識した新しい料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」を発表しました。
auピタットプラン / au
メディアが「格安SIM殺し」とセンセーショナルに報道しているため「auからLINEモバイルに乗り換えようとしていたけど、auに留まるべきかLINEモバイルに移るべきかわからなくなった」という方もいらっしゃると思います。
この記事ではauピタットプラン/auフラットプランとLINEモバイルの基本料金の差をグラフでわかりやすく解説します。
ぜひ、乗り換え前の判断材料にしてください。
この記事の目次
気が短い方向け。先に結論
auピタットプラン/auフラットプランとLINEモバイルの基本料金を比較したグラフです。

auピタットプラン/auフラットプランとLINEモバイルを比較
この記事の結論
- 現在、auとの契約上の端末がAndroidで毎月割が終わっている場合は、auピタットプラン/auフラットプランに変更することで月額料金が安くなる可能性がある。
- auピタットプランは「1,980円」には収まらない。(可能性があるのは1年目だけで難易度も高い)
- auピタットプランよりauフラットプランの方が魅力的。
- auピタットプランは格安SIMの料金体系とは完全に別物。もし同列で比較してもLINEモバイルが安い。
次項以降に、グラフの見方とauピタットプラン/auフラットプランの概要と、LINEモバイルとの比較を解説します。
auピタットプラン/auフラットプランの概要
auピタットプラン はデータ使用量を1Gまでに収められた場合の基本料金2,980円(1年目は1,980円)で、以降、データ通信を使った分だけ段階的に基本料金が切り替わる従量制プランです。
auフラットプラン は6,000円(1年目は5,000円)大容量の高速データ通信を定額で利用できる定額プランです。
auピタットプラン/auフラットプランを選択すべきではない方
先にお話ししておきますが、auピタットプラン/auフラットプランを選択すべきではない方がいます。
毎月割は適用外
auピタットプラン/auフラットプランは端末代と利用料金を分離する施策のため、毎月割の適用がなくなります。
スマホを「実質○円」で購入して、現在、毎月割が適用されている方は、むしろ高くなる場合が多いです。
契約端末がiPhoneの場合は1年目の割引がない
auピタットプラン/auフラットプランはiPhoneでも選択可能です。
しかし、auと契約している端末がiPhoneの場合は、1年目の1,000円割引が適用されません。
また、機種変更や新規契約でiPhoneにする場合は、auピタットプラン/auフラットプランを選択することは出来ません。
auピタットプラン/auフラットプランの基本料金

auピタットプラン/auフラットプランの基本料金グラフ
グラフはかけ放題がないシンプルプランの基本料金を示しています。
縦軸が基本料金、横軸がデータ使用量です。
階段状に示してあるのがauピタットプランで、平面で示してあるのがauフラットプランです。
いずれのプランも1年目のみ1,000円の割引が適用されますので、1年目を灰色で、2年目以降をオレンジ色で示しています。
(以降、特に言及がない場合、2年目以降の金額を基準に記載します。)
auピタットプランは従量制ですので、データ使用量に応じて自動的に基本料金が高くなり、最大で6,980円まで上がります。
auフラットプランは20Gまで使えるプランと30Gまで使えるプランがありますが、複雑になるので20Gのみを示しています。
基本料金は6,000円で一定です。
また、平面の右端(20G)を超えるとデータ通信が低速モードになります。
基本料金が1,980円になる条件は限定的
勘違いされる方は少ないと思いますが念のため。
CMや広告で大きく宣伝している「1,980円」に基本料金を抑える条件は非常にシビアです。
以下の条件をすべて満たした場合の金額ですので、ご注意ください。
- auピタットプランでデータ通信を1G以内に収めることが出来た月。
- プラン変更、または契約の翌月から1年間のみ。
また、auの公式サイトにある「1回5分以内の国内通話もかけ放題」も1,980円に含めるには、auスマートバリュー(自宅のインターネット回線と電話が「auひかり」の場合に適用される割引)の適用が必要です。
※選択できる契約者が限定されるので、このページでは考慮していません。
1.のデータ通信を常に1G以内に収める運用は難易度が高いので注意してください。
参考として、私が格安SIMを勧めている時「1G」は「データ使用量をとことん減らす自信があり、低速モードになっても問題ない場合」のみ勧めています。
-
LINEモバイルで必要な高速データ通信容量はどのくらい?
必要な高速データ通信容量を判断する基準 私は以下の基準で判断しています。 ご意見ありましたら、コメン ...
1Gを超えた時、格安SIM(MVNO)の1Gのプランやauのデータ定額1Gを利用している場合は低速モードになってイライラするだけで済みますが、auピタットプランでは基本料金が自動的に上がりますので、常に最低料金を維持することは不可能と考えた方が無難です。
一部の格安SIM(MVNO)にある高速データ通信のON/OFF設定アプリや、よく使うアプリのカウントフリーがない大手キャリアでは、意外と簡単に1Gを突破します。
auの従来プランとの比較
では、auピタットプラン/auフラットプランに利点がないのかというと、そんなことはありません。
格安SIMのように極端に安い基本料金にはなりませんが、条件を満たせば従来プランよりお得です。
以下に、従来プランとの比較をしたグラフを示します。
かけ放題無しプランの比較

通話定額無し・auピタットプラン/auフラットプランとLTEフラットを比較したグラフ
LTEフラットは基本料金6,934円で7Gまで高速データ通信が可能なプランです。
LTEフラットを契約している方の判断ポイント
- 月々の高速データ通信の使用量が5G未満であれば、LTEフラットよりauピタットプランの方が2,000円以上安くなりますので、従量制の恩恵を感じられます。
- auピタットプラン/auフラットプランともに、高速データ通信容量の最大が20Gになることが最大のメリットです。
LTEフラットと比べてauフラットプランは確実に1,000円安く使えます。
LTEフラットでいつも容量が不足していてデータチャージを常に行っている方や、我慢して7Gに抑えていたという方は、auフラットプランへの切り替えがおすすめです。
通話定額(1回5分以内)プランの比較

通話定額(1回5分以内)・auピタットプラン/auフラットプランとスーパーカケホ+データ定額を比較したグラフ
従来の料金プランの「スーパーカケホ」は5分以内の国内通話料金が無料になるプランです。
auピタットプランとauフラットプランでもスーパーカケホの選択が可能です。
auピタットプランは、同じデータ使用量のスーパーカケホ+データ定額より全体的に500円程度(1年目は1,500円程度)安く設定されています。
※すでに新規受付を停止したデータ定額8~13を利用している方は、そもそも従来プランのデータ定額20の方がデータ定額8~13より確実に安いです。
先にデータ定額20に変更したという前提でグラフをご覧ください。
スーパーカケホ+データ定額を利用している方の判断ポイント
- データ定額1~5を選択していて低速モードを未経験の方は1年目はお得感があります。しかし、2年目以降の差額は500円ですので大きな差は感じられません。
- データ定額1~5を選択していて、高速データ通信容量を使い切って低速モードになることがよくある方は、基本料金が高くなります。ただし、その幅はデータチャージより安いです。
- データ定額20を選択されている方がauフラットプランに切り替えると、基本料金が1,500円(1年目は2,500円)程度安くなります。
データ定額20(スーパーデジラ)の方はauフラットプランへの切り替えがお勧めです。
先に記載した「auピタットプラン/auフラットプランを選択すべきではない方」に当てはまらないないことをご確認の上、プランへの切り替えを検討してください。
※プランの変更に機種変更を伴う場合は、毎月割が1,500円以上であればスーパーカケホ+データ定額20のままの方がお得です。
LINEモバイルとの比較
auピタットプラン/auフラットプランがどういう料金体系であるか、従来の料金プランとの違いを理解いただいたところで、LINEモバイルの料金プランを重ねてみます。

auピタットプラン/auフラットプランとLINEモバイルを比較
auピタットプランとの比較
これまでの説明の通り、auピタットプランは段階的な従量制です。
本来、LINEモバイルとの単純な比較はあまり意味がありません。
ただ、auピタットプランでデータ通信を利用者が希望する容量に抑えられた場合でも、LINEモバイルの料金の方が1,500円~3,300円(1年目は900円~2,400円)安いです。
auフラットプランとの比較
LINEモバイルの高速データ通信容量はコミュニティーフリープランの10Gが最大となっています。1
LINEやInstagramなどのLINEモバイルでカウントフリー対象になるアプリ以外で、大容量の高速データ通信が10G以上必要な方は、auフラットプランへの切り替え がお勧めです。
大手キャリアにしかできないこと(実店舗でのサポート、現在のメールアドレスの維持、最高のデータ通信品質)を含め、この差額で買っても良いと感じられる方は、auフラットプランにプラン変更をお勧めします。
そうでない場合は、LINEモバイルへの乗り換えてを検討してください。
auピタットプラン/auフラットプランに対する雑感
auピタットプラン/auフラットプランは、端末代と利用料金を分離する施策としてauが始めたものです。
auフラットプランは大手キャリアの強みを生かした高速データ通信の大容量プランとなっていますが、CMで大々的に表示しているauピタットプランは従量制の恩恵を受けるための難易度が高過ぎると言わざるを得ません。
auに先行して端末代と利用料金を分離する施策としてドコモが打ち出した「docomo with」と「データシェア」の方が、かけ放題なし、複数回線契約をするという条件下で、明らかにコストパフォーマンスが良いとわかるので魅力的です。(現時点で対象の端末が少ないのでなかなか選択できませんが)
auは今後、auピタットプランが徐々に契約の主流になる方向で考えているようですが、このままでは広告で最安値「1,980円」を表記するためだけに編み出したプランとなり、プラン設計をした想定よりも契約者が少ないだろうと予想しています。
新しい料金プランを提供可能とするためのシステムの改修には莫大な開発費がかかっているはずなので、いずれ改良が加えられるのではないでしょうか。
完全な夢物語ですが、私は以下のような改良を希望しています。
- 3G以上はあと500円安く。
- 一部の格安SIM(MVNO)が行っているような高速データ通信のON/OFFを切り替えられる機能を提供して、データ使用量を契約者が節約出来るようにする。
- 契約者が予め指定したデータ容量に達するまでしか高速データ通信を行わず、超過する前に自動的に低速モードに移行する。
- 契約者が高速モードに切り替えると、以降は従量制に切り替わる。
まとめ
この記事の結論
- 現在、auとの契約上の端末がAndroidで毎月割が終わっている場合は、auピタットプラン/auフラットプランに変更することで月額料金が安くなる可能性がある。
- auピタットプランは「1,980円」には収まらない。(可能性があるのは1年目だけで難易度も高い)
- auピタットプランよりauフラットプランの方が魅力的。
- auピタットプランは格安SIMの料金体系とは完全に別物。もし同列で比較してもLINEモバイルが安い。
- データ量追加購入も可能ですが、au本体と同様、1Gあたり1,000円と割高です。 ↩